top of page

#エッセイ 「私と共存する私」より 1/4

  • 執筆者の写真: E N
    E N
  • 2024年8月28日
  • 読了時間: 2分

i. 二面





「俺の知らないもう一人の君ちゃんがいる。」


最近付き合い始めたパートナーに、乖離を起こした後に言われた。




驚かせてしまった、心配させてしまった。申し訳ない。




でも、「俺」どころか「私」だって知らない私なんだ。


あんなの、私じゃないんだ。きもいんだよ。死ねって感じなの。


 

どんだけ死ねって感じかっていうと、

今これ書いているこの瞬間も耳鳴りが止まないくらいなんだ。


だけど、とても残念だけど、こいつも私なんだ。


本体?の方の私は繊細で、ウザいくらいに神経質で、

すぐ自分と他人を比べたがる。

他人には、

「人と比べてもキリがないでしょ。

あなたにはあなたの、いいところがあるんだよ」

とか、知ったように助言する。



本体?の方の私は、自分に自信がなくなってくると、

他人と自分を比べた結果を鵜呑みにする。

勝手に結論づける。そして大得意な「悲観的自己暗示」を始める。


自分はだめな人間だ。


何もできないんだ。


なんの才能もない。


今までだって何も達成できてこなかったじゃないか。


親に迷惑ばかりかけて。


友人にもパートナーにも、嫌われて。


全く生きているだけで邪魔すぎる。


そう、私は無能のゴミ屑以下の、


生きてる価値なんてないやつだ。


死んだ方がいいよね。


そう、お前は生きてない方がいい。


生きているのがこんなに辛いなら死んだ方がマシだもんね。


お前なんて生きていたって迷惑なだけ、なんでまだ生きてんの?


でもみんなに見捨てられたくない。死ぬのなんて怖い。


意外とすぐ逝けるよ。こないだ買ったばかりの包丁があるじゃん。


あんなの痛いよ。痛いの嫌だ。


薬をお酒で飲んじゃえば途中から痛みなんて全くないよ。


包丁をよくよく研いで、タオル噛んで切ってみたらいいんだよ。


前にカッターはダメだったでしょ。人間の皮膚は意外と切れないんだよ。





ワインもビールも、ぜーんぶ混ぜちゃえ〜


一週間分くらいの薬、ぜーんぶ飲んだら、


今なら勇気を持って左手を切り刻める気がしてきた!


もうどうにでもなっちゃえ。


お前なんて死んでしまえ


生きてるだけで大迷惑


五月蝿い。五月蝿い五月蝿い五月蝿い


黙れ黙れ お前は黙っていて


とにかく辛い、涙が止まらない。

呼吸がおかしくなりそう。


切りたくない。切りたくない。


死にたくない。


でも生きていたくもない。


過去に私がしたこと


全てごめんなさい


悪い娘でごめんなさい


生まれてきてしまってごめんなさい



最新記事

すべて表示
#エッセイ 「私と共存する私」より 4/4

iv. 共存 なぜ今になってこんなに自分を破壊しているのか、なんとなくわかる。 昔よりも長く生きているから、 絶望もより大きくなって 昔よりも、生きづらいと思っているから。 死ぬぞ、という気持ちがだんだん確信に変わってきているから。...

 
 
 
#エッセイ 「私と共存する私」より 3/4

iii. 記憶 その数分のことは、ものすごく鮮明に記憶されている。     よく研いだ包丁は、血管が透けて見えるほど薄くて青白い私の肌をいとも簡単に切り開いた。   けれどすぐに、このまま左手が使えなくなるほど深く切ってやることはできないと悟った。    ...

 
 
 
#エッセイ 「私と共存する私」より 2/4

ii. 乖離 四月二十二日 (月)   母とのラインより    一四時二〇分    めきたった    きった     (写真三枚)    (母)なんでー    止めて、血を    だめだよ    行くから待ってて   (音声通話 四九秒)...

 
 
 

コメント


bottom of page